ウィルコムのXGPを実測:好条件下では11Mビット/秒を達成
ウィルコムは6月下旬、現在試験中の次世代PHS「WILLCOM CORE XGP」に対応した通信カードを一般企業に貸し出し始めた。本誌も同カードを入手し、東京都内で実効速度を計測。好条件下で下り最大11Mビット/秒を記録したほか、下りとほぼ同等の上り速度を計測するなど、予想以上の性能を確認できた。
ウィルコムは2009年10月のXGPの本格サービス開始に向け、4月22日からエリア限定の試験サービスを提供している。同社は今回貸与し始めたのは、ネットインデックス製「GX000IN」とNECインフロンティア製「GX000N」 の2機種。いずれも、PCカード型の端末である。両端末の通信特性にほぼ差がないことを確認したうえ、GX000INで実験を実施した。
試験サービスにおけるXGPの理論上の最大速度は、下り上りとも20Mビット/秒である(表1)。この理論値にどこまで迫れるかが、今回の実験でのポイントだ。比較のために、UQコミュニケーションが7月1日に本格サービスを開始したモバイルWiMaxサーブス「UQ WiMax」の端末と、イー.モバイルのHSPA(High Speed Packet Access)端末でも同じ測定を行った。
UQ WiMaxの通信速度の理論値は下りが40M、上りが10Mビット/秒。イー.モバイルのHSPA端末「D23HW」の理論値は下りが7.2M、上りが5.8Mビット/秒である。
実効速度は下り/上りとも好結果
今回実施したのは、①実効速度と、②ラウンド.トリップ時間(RTT:Round Trip Time)の測定である。①の実効速度は、場所による速度のバラつきを探るため、池袋駅東口、新宿南口、東京駅丸の内口付近の3ヶ所で実施した。ビジネスでの利用を想定し、測定場所は喫茶店内。電波が入りやすいよう窓に近い席を選んだ。
速度計測は、通信端末を接続したパソコンと、FTPサーバーとの間で1Mバイト程度のファイルをやり取りし、完了までの時間を計測した。測定はそれぞれ3回ずつ。その平均値は測定結果とした。FTPサーバーには、上り/下り100Mビット/秒の家庭用FTTH回線に接続したパソコンを利用している。
結果は図1の通り。都内3ヶ所すべてにおいでXGPが他方式を上回った。
下り速度を見ると、各方式とも電波状態が良かった池袋では、XGPが5.6Mビット/秒だったのに対し、UQ WiMaxが3.85Mビット/秒、 イー.モバイルのHSPA が4.1Mビット/秒だった。その以外の場所でも、XGPが他の方式を上回っている。
図1には記していないが、東京都港区にあるウィルコム本社近くの電波環境の良い場所では、一回だけXGPの実効速度が11Mビット/秒を超えた。
上り速度ではさらに差が付いた。池袋ではXGPが4.09Mビット/秒であるのに対し、UQ WiMaxが830kビット/秒、イー.モバイルのHSPA が860kビット/秒。他の場所でもXGPは3Mビット/秒超の速度が出ている。これは、XGPの下り速度とほとんど変らない。上り下りで対称の通信速度を持つXGPの特徴が良く表れた結果と言えるだろう。
表1 実測に使用した機材
測定用パソコンとしてはパナソニックの「Let’s Note CF-R8」(Windows Vista Business搭載)を利用した。
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無線規格
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通信事業者
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利用した端末
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下り速度
(理論値)
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上り速度
(理論値)
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XGP
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ウィルコム
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GX000IN
(ネットインデックス製)
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20Mbps
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20 Mbps
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モバイルWiMax
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UQコミュニケーション
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UD01NA
(NECアクセステクニカ製)
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40Mbps
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10 Mbps
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HSPA
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イー・モバイル
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D23HW
(ファーウェイ・テクノロジーズ製)
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7.2Mbps
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5.8 Mbps
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ただし、通信速度は接続ユーザー数によっても左右される。XGPは一部ユーザー向けの試験サービスで、比較的有利な条件にあることには、留意しておく必要がある。
図1 3方式の実効測定
インタネット上のFTPサーバーに対して約1Mバイトのファイルをアップロード/ダウンロードした。掲載したのは3回計測した平均値。測定は6月19日午後に行った。
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遅延の少なくVoIPの利用にも向く
②のRTTは、送信したパケットは送り先に届き、その応答が戻ってくるまでの時間である。この時間が短いほど、通信網内での遅延が少ないと言える。特に、VoIP (Voice over IP)などのリアルタイム性を要求されるアプリケーションでは重要だ。
実験では、端末から「www.nikkeibp.co.jp」に向けてpingコマンドを4回発行し、平均のRTT時間と最大/最小値を記録した。最大/最小値は遅延の揺らぎを調べるためのもの。揺らぎが小さいほど、マルチメディア・データの再生品質が高まる。結果はXGPが平均29ミリ秒で、ここでも好結果。UQ WiMaxは113ミリ秒、イー・モバイルは249ミリ秒だった。(図2)
VoIPで満足な音信品質を満たすための遅延時間は、100ミリ秒と言われている。RTTは往復の時間を計測しているため、XGPの場合では片道15ミリ秒程度の遅延で済んでいる。アプリケーションの処理時間を考えても、十分に条件を満たしていると言える。
VoIPの音質を左右するRTTの揺らぎも、XGPは非常に小さかった。XGPでは最大値と最小値の差が3ミリ秒。UQ WiMaxとイー・モバイルはそれぞれ67ミリ秒、 54ミリ秒だった。

速度では好結果を残したXGPも、通信エリアではまだ設備を導入中であるので分が悪い。
また、UQ WiMaxで問題となっていたる屋内での通信は、窓際であれば最大の強度でつながる。感覚的には、UQ WiMaxよりも屋内でつながる確率が高かった。
(訳者注:XGPのMACとPHY設計はアダプティブアレイシステム(AAS)が最も効果的に運用出来るようにされており、このため屋内浸透率もWiMaxと比べて明確な優位差がある。)
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