ウィルコムのXGPサービスが始まり、エリアが限られるとはいえ筆者の通常の行動範囲におおむね合致しているので快適に利用している。
モバイルコンピューティングをするようになって10年以上になる。初めは特にモバイルを意識したわけではない。その頃は現在と違って、どの会社でもインターネット接続環境許が整備されている状況ではなかった。筆者も仕事の場所が変わるたびにインターネット接続の確保に苦労していたような時代である。
当時はまだADSLさえなく、大手企業などで専用線接続があれば問題は無いのだが、そうでなければインターネット接続はNTTのISDN回線(これはモデムが高く、筆者が使い始めたのは札幌のベンチャー企業が安価なモデムを提供してから)か、あるいは固定電話のアナログモデモによるダイアルアップ接続によるしかなかった。
そういう状況の中でPHS事業者がPHSによる32Kbpsデータ通信サービスを開始したのがたしか1997年4月だった。筆者もすぐこれに飛びつき、32Kbpsという今から思えば低速ではあるが、とにかく仕事の場所がどこに変わってもそれまでと同じように利用できるということで、PCのみならずPDAでも大変お世話になった。
その後、PHSによるデータ通信はさまざまな技術の積み重ねで順次通信速度の向上が進み、当初の32Kbpsから現在では最高で800Kbpsの利用までできるようになっている。
筆者は携帯電話会社が公称値で最高7Mbpsという3Gデータカードも利用しているが、実際に使ってみて、最高で約2.3Mbps、通常は1Mbps前後、遅いときには200~300kbps程度も希ではなく、いずれにせよ公称値の最高7Mbpsにはほど遠い。その点、1Mbpsを超えることは理論的にもあり得ないが、数100kbpsが安定してしかも安価で利用できるPHSのインターネット接続は捨てがたい。
そして昨今は、世を挙げてのブロードバンド時代、オフィスのみならず自宅でも高速光回線が利用できるようになった。筆者の自宅でも、12年前にCATVのインターネット接続を導入し、さらにその2年後には光回線に切り替え、爾来最高で数10Mbpsの高速インターネット接続を享受している。
そしてさらに、今や「モバイルブロードバンドアクセス」の時代。冒頭述べたようにXGPの素晴らしさを堪能している。
これまでに経験した最高速度は、下りで9.9Mbps、上りで7.8Mbps。理論値の上下それぞれ20Mbpsには及ばないが、これは使用しているPCのCPUが当節では非力のシングルコアのCentrinoということによるのかもしれない。ともあれ接続するとガツンとまるでスポーツカーにギアを入れるときのような確かな感覚はたまらない。
また、上りの通信速度はモバイルとは信じられない速さだ。これならオンラインストレージへのアップも楽だし、YouTubeなどへの投稿も非常に簡単だろう。そのうちには、手持ちのビデオカメラからライブでネット配信できると思うのでいずれ試みたい気もする。
当面最大の課題はエリアであろう。
サービスを提供している東京中心部だけだが、それ以外の地方にも基地局の建設は進んでいるようで、このあいだの週末にプライベートな会合で久しぶりに広島を訪れたが、事前に広島には既に基地局が約10局あるとの情報をPHSファンサイトで知り、それではと、当地でのXGPを経験してきた。数カ所で速度測定をしてみたところ、おおむね下りで6~9Mbps、上りで4~7Mbpsと広島市内中心部は面的にもおおむねカバーされていると推測された。
特に64年前、世界で最初に原子爆弾が投下され、この一発の兵器により当時の広島市の人口35万人(推定)のうち約14万人が死亡したとされる悲惨事をとどめる原爆ドーム前での速度が下りで7.271Mbps、上りで5.263Mbpsと出たときにはなぜか深い感慨を覚えた。また、このような広島中心部がサービス提供地域になっていないのはなんとも勿体ないとも感じた。
もっとも、XGP基地局はこれまでのPHS基地局にXGP送受信機材を付加するだけで簡単に設置できると聞いている。全国16万局のPHS基地局のどのくらいをXGP基地局化する必要があるかは知らないがいずれにせよ早急なエリア展開は可能だろう。
もうひとつ要望がある。
それは、XGP端末をいろいろな形で提供していただきたいということ。現在ではPCカードタイプだけだが、できるだけ早くUSBタイプや Express Cardタイプのものも出して欲しい。最近人気の超小型PCやネットブックにはPCカードが付いていないほうが多いので。
さらには、ウィルコム独自の規格であるW-SIMタイプのXGP端末もできるだけ早く出して欲しい。それが提供されれば、ウィルコムのZERO-3シリーズスマートフォンも劇的に進化する。
その日が楽しみである。
 
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