日中TDD協力セミナー北京で開催

China Japan TDD 2009年9月8日に北京で日中TDD協力セミナーが開催されました。このセミナーは、本年6月に中国TDD連盟とXGPフォーラム、YRPがTDD技術に関する覚書を交わして以来、初めての交流会です。当日は電波産業会を始め、XGPに取り組むウィルコムや京セラを始めとするベンダーなど日本側参加者48名、中国側は中国移動を始め各ベンダーが参加し52名、合計100名での開催となりました。本交流会では、日本側よりXGPおよび関連TDD技術に関する、オペレーションの状況、運用の課題、製品および特徴の紹介、中国への取り組み状況などを情報提供を行い、中国側からは、TD-SCDMA、TD-LTEおよび関連TDD技術、FDD/TDD融合などに関する、オペレーションの状況、運用の課題、製品および特徴の紹介などを情報提供が行われました。

開催に当たり、関係者よりスピーチが行われたので紹介いたします。

スピーチ概要:

XGPフォーラム事務局長 杉浦正一氏
この日中TDD協力セミナは、中国TD産業協会と日本の電波産業会、それにXGPフォーラムが共催で行われ、 YRPには協賛頂いた。XGPフォーラムはTDDに早くから着目し、10年以上の商業化の経験をもとにXGPを確立、世界的にもTDDを使いこなすサービスは非常に少ない。今後、中国とTDDの技術をお互いに情報交換や研究する事で相互協力し、標準化も含めた発展に貢献したい。
中国工業和信息化部 科技司高技術処 葉林 氏
TDD技術発展のために、日中両国がMoU締結をしたことは大変意義のあることである。TDD技術を用いた産業の発展を願っている。関係各社の協力のもと、研究開発体制を整えていってほしい。
日本総務省総合通信基盤局 電波部推進官 瀬戸 隆一 氏
現在、情報関連分野を中心に日中間の協力を推進している。今回の3者間(TDIA、YRP、XGP Forum)のMoU締結は、大いに意義のあるものである。TDD技術の協力を通して、日中双方の技術発展を願う。
XGPフォーラム議長 井上 友二 氏
XGPはWiMAXと比較して技術的な優位性を持つ。TDDの利用率はまだまだ少ないが、今後大いに注目されるだろう。PHSの10年以上にわたる経験から生まれたXGPは、信頼性の高い通信方式である。日中双方の技術を利用、協力することにより、国際標準化が進むことを願う。XGPはUL:DL=1:1なので、放送業界が注目している。
MTD産業協会 秘書長 楊驊
TDDは周波数利用効率が良く、アプリケーションに応じてULとDLの比を変えることができる。現在中国では179機種ものTD端末があり、TD-HSPAの試験も終了した。今後HSPAの商用バージョンやGSMとのデュアル端末も商用化されるであろう。中国でのTDDユーザーは、今後2年で1億人を超えると見積もっている。日中が協力してTDD技術を推進し、さらなる発展の礎を築きましょう。
日本電波産業会 専務理事 若尾 正義 氏
TD-SCDMAは中国が中心になって標準化が進められた技術で、TD-LTEに発展しようとしている。日本では2001年頃にWCDMAとcdma2000の商用サービスが開始された。WiMAXやXGPのサービスも今年すでに始まっている。中国をはじめとした諸外国と連携を進めていく。日中双方のTDDに関する協力関係が発展していくことを願う。

 

その後、参加各社より15分程度のプレゼンテーションが行われましたので、その概要を紹介致します。

中国移動データ部 端末管理処副経理 劉利平 氏
TD-SCDMAは2008年に商用化された中国独自の技術である。端末のラインナップも、2009年中には90機種を越える。6.5億RMBのR&D費用を投入し、端末の品質を改善した。日本メーカーには、測定器や端末において参入していただきたいと望んでいる。
中国移動研究院 無線所高級技術経理 徐兆吉 氏
TD-LTEは、オペレータが規格の初期段階から主導権を握っている。またさまざまな企業が参入していて、政府の支持も受けている。2009年5月にIntegratorと協力して実験室を立ち上げた。来年の上海万博にて、TD-LTEのデモンストレーションを実施する予定である。
ウィルコム 執行役員副社長 近義起 氏
XGPはOFDMA/TDMA-TDDを採用し、マイクロセルを基本としたセル構成を採用している。XGPは、TDDとAASが最適に動作するシステムとして設計された。日本のFTでの測定結果では、DLのスループットはWiMAXよりも4倍ほど速く、ULも2倍近いスループットが出ている。RTTもWiMAXやHSPAに比べて速い。日中が協力して、真のWBBを作っていきましょう。
夏普(シャープ)商貿(中国)有限公司 仲谷 節夫氏
シャープはTD技術に注目しており、近々端末を商用化する予定。昨年GSM端末を投入しており、既に10機種投入している。すべての価格帯でベスト10入りを果たしている。コア技術(TFT液晶、カメラレンズ)を自社開発している。
京セラ株式会社 飯沼 敏範 氏
京セラは、規格化段階からXGPにかかわっており、ウィルコム向けのXGP基地局を開発した。XGPではセル間干渉の問題を解決するためにDCAによる自律分散制御やAASを導入している。京セラは、AASを適用したシステムを50万台以上生産・納入した実績を持つ。
華為技術 副総裁 李昌竹 氏
華為はR&Dに1万人を投入し、TDDとFDDでプラットフォームを共用している。TD-SCDMAとLTEもプラットフォームを共通化している。TDDとFDDの長所を融合させるべきである。2010年の上海万博で、TD-LTEのデモンストレーションに協力している。
中興通訊 市場総監 Eric Lou 氏
FDDとTDDを融合することによって、市場規模が大きくなる。例えば、FDDはマクロセルでOutdoorをカバーし、TDDはマイクロセルでIndoorをカバーするような方法が考えられる。FDDとTDDは、規格にコンパチビリティがあるため、融合の基盤は整っている。FDDとTDDの両方サポートするチップセットも来年には発表される。FDDとTDDの干渉問題は、周波数の分断やアンテナの分断により解決可能。
大唐移動 Vice CTO 王映民 氏
3GPP規格がRelease8からRelease9にアップデートされ、TD-LTEとLTE-FDDの融合が実現しやすくなった。両方式融合することは、政府、キャリア、メーカーのすべてから歓迎されている。TD-SCDMAとTD-LTEのハードウェアの共通化を推進している。
Netindex 伊澤 聡宏 氏
PCカードタイプのXGP端末を開発した。XGPの性能は、WiMAXやHSPAに勝っている。また、マイクロセルはマクロセルのシステムに比べて容量が大きい。
Altair Aviv Castro 氏
2005年5月に設立された会社で、本社はイスラエルにある。XGPのチップセットをはじめ、WiMAXやLTEのチップセットも開発した。
ABIT Corporation 代表取締役 檜山 竹生 氏
1985年に設立された会社で、本社は東京の八王子にある。ウィルコム社向けにW-OAM対応のW-SIMを提供し、PHSやXGPのチップセットも提供している。
聯芯科技(Lead Core) 張愛民 氏 
2008年4月に設立された会社で、大唐移動と関連がある。チップセットメーカーのMedia Tek社と協力している。
T3G 市場総監 牟立 氏
2003年にフィリップス社、サムスンなどとの合弁会社として設立。2009年にはST ERICSSON社の傘下に入った。End-to-end Solutionやチップセットが主な製品である。
聯発科技(MediaTek) 中国主席代表 廖慶豊 氏
3Gを、「Green」、「Grace」、「Grassroots」と定義してはどうか。
星河亮点(Star Point) 総裁 趙偉 氏
ユーザーは、システムの良し悪しを端末の良し悪しによって判断する。したがって、端末の測定・テストが重要である。スターポイント社の製品は、端末の総合測定機や端末RRM測定システムである。
Dairix Corporation 営業部長 野俣 隆 氏
1994年に設立した、プロトコルスタックの開発会社である。

 

交流会翌日には、Working Groupを設立して更に技術交流を進めていくことが確認されました。
今後の日中の通信業界発展の為に、この交流会がますます進展することを期待したいと思います。