2010日中無線ブロードバンド技術発展フォーラムの報告

2010年2月26日中国科学院計算技術研究所、XGP Forum、電波産業会が共同主催した2010日中無線ブロードバンド技術発展フォーラムが中国科学院計算技術研究所で開きました。日本側は総務省、XGPフォーラム、ウィルコム、京セラ等、中国側は中国科学院,中国移動通信聯合会,北京科委,中国中国聯通、大唐移動、中興通信等が参加しました。

 

午後13:30より主催側である中国科学院計算技術研究所所長孫凝暉氏による開会の挨拶により、フォーラムが始まりました。孫所長は挨拶の中でXGPがODFMを使ったいくつかの技術の中でもスループットの高さなど有意的な特徴があり、今回の中日合作がより良い技術と応用につながることが期待されることから、中国科学院としても大きく期待していることを表明しています。
続けて、総務省国際交渉専門官飯田陽一様より挨拶がありました。2009年5月の日中大臣による通信分野で協力を進めるという合意により、TDD技術を用いたブロードバンドアクセス技術に関して取り組みがなされることを総務省としても期待しており、日本と中国の間は日帰りも可能な程近いことから両国間の協力を強く推進していくというお話がありました。
さらに、中国移動通信聯合会執行秘書長の楼培徳教授より、日中のTDD技術協力の効果として、日本と中国それぞれが持つ技術力・ノウハウと市場という優位性を融合させることにより、世界に通用する産業へと発展させることも可能であり大きく期待しているとの話しがありました。
XGPの北京における実証実験のパートナーである中国科学院計算技術研究所先行技術無線センター常務副主任の石晶林教授の講演では、ブロードバンド技術とIP技術がもたらす効果と移動通信網の融合による応用の紹介、XGPのプロジェクトと中国における導入検討案などの紹介がありました。
さらにもう一人のXGPの北京における実証実験のパートナーである中国聯通国家ブロードバンドプロジェクト実験室の王湘寧氏より、ウィルコムとのPHS時代からの長年の協力関係の紹介に加えて、XGPの性能評価の結果について紹介がありました。ユニコム自体はW-CDMAとFDD-LTEという大きな方向性があり、王氏も評価を行っているが、XGPの性能はW-CDMAを上回る高性能であることから、中国のTDD方式との技術融合や、中国で現在協力に推進されている「物聯網」などへの応用が期待されるとの話しがありました。
続けて、ウィルコム副社長&CTOの近義起氏より講演がありました。ウィルコムがPHSを利用して世界に先駆けて使い放題のデータ通信サービスを提供した結果、真の無線ブロードバンドサービスを実現するには、膨大な無線容量が必要となり圧倒的な周波数の利用効率が求められることがわかっています。無線ブロードバンド技術にはスマートアンテナや自律分散方式などの技術導入が必要不可欠であり、WiMAXやW-CDMAでは不十分との判断より、XGPを開発したということを、実際のフィールドでの検証結果をもとに説明しました。
休憩を挟んで、京セラ通信設備事業本部技術部長の吉田浩康氏より、京セラによるXGPへの取り組みと基地局について、鍵となる技術であるアダプティブアレイ技術の効果の具体的な実験結果、フィールドでの効果測定の結果を用いて紹介がありました。
続けて、中興通訊(ZTE)社のTD市場総監のLouXin氏よりZTEのTDD技術の経験の紹介と、現在力を入ているTD-LTE関連技術へのマイクロセルシステムの応用検討の提案がありました。XGPが採用しているマイクロセル技術の効果に強い関心があり今後も交流を希望するとの話しがありました。
また、同じくXGPシステムの開発を進めているMicroXel NetworksのCEO 林本浩(PunLam)の講演では、TDDの経験を持つUTスターコムを源流として09年に設立したMicroXel Networksが開発を行っているXGPシステムの紹介がありました。
その後、日中協力XGPの国際プロジェクトの紹介がWILLCOMおよび中国科学院からありました。WILLCOM第一技術開発部の蔡叔達氏が総務省の支援による今回のプロジェクトの目的、日中の協力体制の説明を行い、今回の調査研究の概要を解説しました。実際には、北京に12月に設備を搬入し、1月にシステムインテグレーションと検証試験を実施。1月15日に3社によるキックオフミーティングを行い、XGP技術の相互理解と調査研究の進め方について意識合わせを行った。その後、1月後半から2月にかけて評価測定を行いました。その結果としては、中国科学院の遠隔教育システムの利用を想定した、XGPの性能評価では、すべてに於いて良好な結果が得られ、HD映像を利用するシステムでもXGPが有効に使えるであろうことが分かりました。
中国科学院計算技術研究所の黄伊氏。中国科学院計算技術研究所先進技術無線センターは2009年に設立され、無線技術のR&Dを行い、多くの工業情報化部のプロジェクトも受託して実施している国家最高レベルの研究開発機関であります。ウィルコムとの共同研究に関しては、XGPの応用評価を中心に担当しているが、重点実施項目は遠隔教育への応用評価であります。評価を通じて非常に良い結果が得られたことから、XGPは遠隔教育はもちろんその他多くの応用が期待されるものである。優れたスループット性能を持つことから、個別利用だけでなく、複数の利用者が同時に使うようなマルチユーザ環境においても、所要帯域を確保でき、アプリケーションの共存利用が可能な技術であります。その他、UplinkとDownlinkが対象であることや高いモビリティなど、従来の無線技術には無い優れた性能を有していることが、今回の調査研究の結果明らかになりました。

 

それぞれの講演のあとに、会場に於いて中国科学院とウィルコムおよびMicroXelそれぞれが研究開発を行っているBWAの実験システムのデモが行われました。

 

XGP Demo by WILLCOM

 

TD-LTE evaluation system of ICT、TD-SCDMA Fett cell、Introduction of WiMAX

 

XGP Demo by MicroXel